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管理委託費の見直しはどこをチェックする?

管理委託費の見直しはどこをチェックする?

修繕積立金の不足などをきっかけに、管理会社に定額で支払っている管理委託費の見直しを行うマンションが増えています。しかし、ただ単に「安くしてくれ」といっても管理会社が応じてくれるわけではありません。管理委託費の見直しにあたっては、どこをどのようにチェックすべきなのでしょうか。

管理委託費の項目と内容は管理会社によって違う

「管理委託費」というのは、管理業務の一部または大部分を管理会社に頼んでやってもらうための費用です。
大きく分けて、

  1. 事務管理業務費(理事会や総会の運営支援、会計業務、長期修繕計画作成など)
  2. 管理員業務費(管理員の派遣など)
  3. 清掃業務費(定期清掃の実施など)
  4. 建物・設備管理業務費(建物や設備の保守点検など)

の4つがあり、さらにそれぞれ細かい項目に分かれています。

注意が必要なのは、これらの項目の名称や分類の仕方はそれぞれの管理会社で違うということです。管理会社から受け取っているはずの管理委託契約書とセットになった見積書を確認し、どのような項目があるのか、またそれは具体的にどのような業務を意味しているのかを確認する必要があります。

そして、ご自分のマンションの現状と比較し、本来あるべきなのに抜けている項目はないか、逆になくてもよい余分なものがないかをチェックしていきます。

他の管理会社から見積もりを取る時も、項目の名称が異なったり、名称は同じでも含まれる業務や範囲が違ったりすることがあります。各社ばらばらの項目や業務範囲のままでは正確な比較・検討はできません。

一番大事なのは小さな文字で書かれた「仕様」

管理委託費の内容で特に重要なのが、それぞれの業務の具体的な内容を説明している「仕様」です。小さい文字で書かれていることが多く、つい読み飛ばしてしまいがちですが、仕様にこそ重要な情報が詰まっています。

例えば、管理員業務や清掃業務は、何人のスタッフが何曜日の何時から何時まで、どこで、何を行うのかが明確になっていないと、金額が適切かどうか判断できません。

建物・設備管理業務も同じで、保守点検作業などの対象となる設備の種類、箇所、点検内容が分からないと金額の妥当性は判断できません。時には、保守点検が必要な設備がもれていたり、マンションには存在しない設備が対象に含まれていたりすることがあります。

具体的な仕様は金額の妥当性を判断するベースになるだけでなく、実際にその通り業務が行われているかチャックする基準にもなります。

見直しをしやすい項目例

ここでは実際に見直ししやすい項目をいくつか挙げておきましょう。

<事務管理業務費>
管理委託費の中の大項目のひとつでで、フロントマンの人件費のほか、本社や支店の専門スタッフ、各種システムなどを利用するコストが含まれます。
しかし、通常は合計で月額いくらとしか表示されません。そのため、中身がブラックボックスになりやすく、他社との比較などによって見直しできる可能性があります。

<エレベーター・機械式駐車装置>
エレベーターと機械式駐車装置はいずれもモーターなど機械部品が多く、使用頻度も高いので、定期的に点検し、消耗した部品は取り替えるなどの対応が必要です。
こうした保守点検業務を行う会社には、装置のメーカーやその系列会社と、独立系の保守点検会社があります。メーカーやその系列会社は安心感がある一方、金額は高くなりがちです。独立系でも業務品質に差はほとんどなく、コストを重視するなら有力な選択肢でしょう。

<法定点検>
マンションにはエレベーターや機械式駐車装置のほかにも消防や給水、変電などいろいろな設備があり、保守点検が法律で義務付けられているものが少なくありません。
こうした法定点検は通常、管理会社を通じて専門業者に頼んでおり、管理会社の手数料がプラスされています。そこで、管理組合が専門業者へ直接、発注することで金額を下げられる可能性があります。
なお、植栽管理や定期清掃などについても、管理組合の理事などが独自のネットワークを持っている場合、直接契約が可能かもしれません。
直接契約の場合、管理会社は間に入りませんが、事務管理業務の一部として、業者選定や交渉について管理会社にアドバイスを求めてもよいでしょう。ただし、実際の業務チェックや何か問題が発生したときに対応は管理組合の責任で行うことになります。

上記を参考に、管理委託費の見直しに取り組んでみてください。