管理会社がやってくれることと選び方
分譲マンションにおける管理の主役は、各住戸の所有者がメンバーとなって構成される管理組合です。しかし、実際に管理に関わるさまざまな業務は管理会社に一括して任せるマンションがほとんどです。管理会社はどんなことをやってくれるのか、また上手な管理会社の選び方について説明しましょう。
マンションの管理会社とは?
管理会社とは、分譲マンションの管理に関わる様々な業務を引き受ける会社です。2001年に施行された「マンション管理適正化法」により、マンション管理を事業として行う会社は国土交通省に登録することが義務化されました。現在、登録している管理会社は2200社近くにのぼります。一般的にマンション管理は労働集約型のサービス業であり、さほど大規模な設備投資が必要というわけではありません。そのため、大手から中小、零細までこれだけ多くの会社が存在しているのです。
管理会社が実際に行う業務としては、管理費等の出納、管理員の派遣、建物の清掃、設備の点検・検査などがあります。こうした業務のほとんどはマンションの建物や設備の共用分、あるいは管理組合の運営についてのことです。
各住戸の室内(専有部分)については従来、基本的に業務の対象外としていましたが、最近は新しいサービスとして専有部分の電球取り替えなど生活サポートも有償で手掛けるようになっています。
マンション管理会社に委託するメリットは?
管理会社の使い方としては、「全部委託」と「一部委託」があります。
全部委託」とは、マンションの管理に関わる業務のほとんどを一括して任せ、毎月定額の委託料を支払うものです。管理組合(理事会)として行うのは基本方針を決めることくらいで、あとは管理会社に任せておけばよく、役員の負担が軽くてすみます。現在はこの「全部委託」が一般的になっています。
一方、「一部委託」は、管理費等の出納や管理員の派遣など一部の業務のみ任せるものです。清掃や設備点検など管理会社も専門会社に再発注しているような業務については管理組合が直接、専門会社に発注します。全部委託にくらべると手数料などをカットすることができ、うまくすれば役員の負担がさほど増えることなく管理費を削減できます。ただし、専門会社に直接発注する業務については、管理組合が自分でチェックする必要があります。
なお、管理会社に頼らず、管理組合が基本的にすべての業務を行う「自主管理」方式もあります。管理費を低く抑えられるのがメリットで以前は結構ありましたが、役員の負担が大きく、現在ではあまり見られません。
信頼できるマンション管理会社の見分け方と選び方
現在は「全部委託方式」が主流になっているとはいえ、管理会社に丸投げしておけば大丈夫というわけではありません。
そもそも、管理会社は新築時に売主の不動産会社がセットしており、管理組合が自分たちで選んだものではありません。
しかも、管理組合の役員は1~2年任期でどんどん交替し、マンション管理に必要な建築、設備、法律、財務などの専門知識についても素人です。
しかも、管理会社は管理組合の “懐具合”をすべて把握しています。そのためチェックが働かず、コストを含め管理会社の言うがままになっていることがあります。
信頼できる管理会社を見分けるポイントをひとつだけ挙げておきましょう。フロントマンと呼ばれる業務担当者一人がどれくらいのマンションを担当しているかです。
一人当たりの担当があまり多いと、ひとつずつのマンションに労力や時間があまり割けません。ぜひ一度、確認してみることをお勧めします。
なお、同じ管理会社でもフロントマンや管理員のレベルにはかなり差があります。うるさ型の管理組合にはレベルの高いフロントマンや管理員を配置し、物言わぬ従順な管理組合には補欠クラスを回しがちです。
しかも、これは大手で有名な管理会社かどうかとは関係ありません。超大手でも驚くほどレベルの低いフロントマンや管理員もいることはよく覚えておきましょう。
図表 管理会社のタイプと傾向
こんなタイプ | 強み | 注意点 | |
デベロッパー系 | 新築マンションの売主である不動産会社(デベロッパー)の子会社や関連会社で、大手が多い |
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ゼネコン系 | 大手建設会社(ゼネコン)の子会社や関連会社。それほど多くはない |
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ビルメンテナンス系 | もともとはオフィスビルなどの清掃、設備点検などのメンテナンスを主力としている管理会社 |
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独立系 | 特定のデベロッパーやゼネコンと資本や人的関係のない管理会社。マンション管理を専門にしており中小規模のところが多い |
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出典:『あなたのマンションは大丈夫!? マンション管理&修繕完全ガイド2016』(ダイヤモンド社)
マンションの管理において、管理会社は重要なパートナーです。しかし、丸投げすればいいというわけではなく、自分たちのマンションにあった会社、適切な頼み方を見極め、普段から緊張感を持った関係を築きたいものです。上記を参考にしてマンション管理の運営に役立ててみてください。