「マンション総合調査」にみるここ5年の変化
こんにちは。SJS社長の廣田晃崇(ひろたてるたか)です。
先日、国土交通省が「平成25年度マンション総合調査」の結果を発表しました。
これはマンション管理に関して基礎的な資料を得ることを目的に、約5年に一度、管理状況や居住者などの意識を調査するものです(前回は平成20年度)。
管理組合の役員のみなさんはもちろん、区分所有者のみなさんにとっても、マンション管理っていまどうなっているのか全体的な平均や傾向を知るためにとても参考になるでしょう。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/manseidata.htm
たとえば、この5年で世帯主が60歳以上の割合が39.4%から50.1%へと、10ポイント以上アップしました。
居住者の年齢がどんどん上がっているわけで、これが管理組合の活動や区分所有者の意識にどのように影響するか、注目されます。
プラスの面としては、社会経験豊富で時間的な余裕もあるシニア世代がマンション管理の主役として活躍することが期待されます。
マイナスの面としては、特に築年数の古いマンションなどで費用負担を伴う耐震補強やさらには建て替えへの意見集約がなかなか進まないかもしれません。
また、今回の調査結果では、マンションに「永住するつもりである」という割合も前回の49.9%から52.4%へと上昇しており、いま住んでいるマンションを終の棲家として考えている人が多数派であることが分かります。
その他、この5年間で目立った変化としては、「計画期間25年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金の額を算定している割合」が、36.6%から46.0%に大きくアップしています。
長期修繕計画の重要性が理解されるとともに、その裏付けとなる資金準備をしっかり行おうというマンションが増えているのでしょう。
ただ、逆にいうとまだ過半数のマンションでは適切な修繕積立金の設定がされていません。
また、最近は人手不足や建築資材の価格上昇により、各種工事費が急速に値上がりしています。これまでのコスト計算では費用が不足するかもしれない点には注意が必要です。
もうひとつ、この5年で大きく変わったのが、大規模災害への対応です。「災害時の対応マニュアルを作成している」「定期的に防災訓練を実施している」「防災用品を準備している」「ハザードマップ等、防災・災害対応策に関する情報を収集・周知している」といった対応がいずれもアップしています。
こうした対応は一度行えば終わりではなく、毎年着実に継続し、定着を図っていくことが重要でしょう。
時代とともにマンション管理の状況も変わっていきます。
全体の変化を後追いするより、先取りしていく意欲を持ちたいものです。