東海地方でもマンション大規模修繕工事の談合にメス
マンション業界を揺るがしている大規模修繕工事の談合(独占禁止法違反)疑惑。もともとは首都圏の大手工事会社と設計コンサルタントに疑惑の目が向けられてきましたが、その波紋が東海地方にも広がっています。
マスコミ報道によると2026年7月、公正取引委員会が東海地方の大手工事会社や設計コンサルティング会社に立ち入り調査を始めたそうです。対象となっているのは、大京穴吹建設、建装工業、長谷工リフォームといった首都圏の談合疑惑で調査中とされるところのほか、淺沼組、ユニホーなどが新たに加わり合計20数社に及ぶ模様です。
各社は少なくとも数年前から愛知県、岐阜県、三重県にある分譲マンションの管理組合が発注した大規模修繕工事において、事前の見積もり合わせで調整を行ない、受注予定業者を決めていた疑いがあるといいます。
公正取引委員会の手続きとしては、まず①立ち入り調査から始まり、②資料の分析や関係者の事情徴収を行ない、その後、③処分案の通知と意見徴収を経て、最終的に④排除措置命令や課徴金納付命令(いずれも行政処分)が行なわれます。
首都圏のケースでは現在、③のところまで来ているとされ、今回の東海地方でもおそらく来年の前半くらいまでに③へと進むのではないでしょうか。
また、首都圏、東海地方とくれば当然、注目されるのは関西地方です。何も行なわれないというのは考えにくく、近い将来、関西地方でも同じように大手工事会社や設計コンサルティング会社への調査が行なわれる可能性があると思います。
もう一点、今回の東海地方での談合疑惑に関して注目されるのが、設計コンサルティング会社として名前が挙がった「株式会社T.D.S.」(東京)です。現在、同社のホームページには下記のようなお知らせが掲載されています。

https://www.tds-arc.com/back/view/9287
首都圏の場合、設計コンサルティング会社として名前が挙がったのは「翔設計」(東京)と「リノシスコーポレーション」(大阪)ですが、この2社と「T.D.S.」にはある共通点があります。
それは2017年12月に設立された「一般社団法人マンション改修設計コンサルタント協会」(MCA)という業界団体に深く関係していることです。
2017年頃にも実は、マンションの大規模修繕工事を巡って不適切な設計コンサルの存在が大きな問題になり、国土交通省もマンション管理組合などに注意喚起の通知を出していました(公正取引委員会は動かず)。
こうした流れを受けて、マンション改修設計業界で初の業界団体となる「マンション改修設計コンサルタント協会」(MCA)が発足したのです。
その目的は、不適切コンサルの排除へ向けた施策とともに、改修設計技術の高度化、若手技術者の育成などマンション改修設計業界の底上げを図ることとされています。
初代理事長に就いたのは翔設計の当時の代表です。記者会見では「不適切コンサルの存在は業界の失墜につながる大きな問題であり、団体の活動を通じて是正していきたい。業界の発展、マンション住人のためのコンサルタント業を貫く礎にしたい」と述べていたそうです。また、MCAの設立発起人3名のうち一人はT.D.S.の当時の代表であり、MCAにおいて中心的な役割を担っていたことは同社自身がホームページで紹介しています。そして、リノシスコーポレーションも発足当初からの会員でした。
これはいったい何を意味しているのでしょうか。
当コラムでは引き続き、いろいろな角度からマンション大規模修繕工事の闇について取り上げていきます。