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公正取引委員会の動きと各社の反応

株式会社ソーシャルジャジメントシステムSJSコラム 公正取引委員会の動きと各社の反応

公正取引委員会の動きと各社の反応

6月12日、マスコミ各社は公正取引委員会がマンション大規模修繕工事を巡る談合を認定し、排除措置命令などを出す方針を決めたと報道しました。対象となったのは施工会社30社超と設計コンサルタント2社です。

報道によると各社は2021年秋以降、関東にあるマンション管理組合が発注した大規模修繕工事100件以上で事前の話し合いで受注予定業者を決めていたそうです。また、受注においては設計コンサルタント会社2社が見積もり合わせなどで関与していたとされます。

この件は1年以上前の2025年3月と4月、公正取引委員会が立ち入り検査にはいったことが報じられており、今回はその検査結果を受けての動きです。

ただし、立ち入り検査にしろ今回の排除措置命令にしろ、公正取引委員会からの公式発表はなく、同委員会のホームページにも情報は載っていません。今後、調査結果等を踏まえて、最終決定の後に公表されるものと思われます。

ですので、あくまで報道ベースの情報になりますが、概要を整理すると次のようになります。

・施工会社に対しては独占禁止法に基づく排除措置命令書(案)及び課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通知書が送付された。

・課徴金は合計約16億円。課徴金は対象期間の売上額に対して一定割合(原則10%、中小企業は4%)で算定される。

・設計コンサルタント会社は排除措置命令のみで課徴金は課されていない。

報道以降、名前が上がった企業にはさっそくホームページで対応を報告するところが出てきています。内容で多いのは、「公正取引委員会の調査には協力し、報告すべき事項があれば公表する」というものです。以下、いくつか引用してみます。


【長谷工コーポレーション】

https://www.haseko.co.jp/hc/ir/news/upload_files/20260612_1.pdf

公正取引委員会による当社子会社への行政処分に関する一部報道について   2026年6月12日付けの一部報道機関において、当社子会社である株式会社長谷工リフォーム(以下「長谷工リフォーム」といいます。)に対する、公正取引委員会による行政処分に関して報道がなされております。現在も公正取引委員会による調査が継続しており、長谷工リフォームは真摯に調査に協力しております。 現時点において、本件に関する詳細な回答は差し控えさせていただきますが、今後、開示すべき事項が発生した場合には、速やかに公表してまいります。 


【大京穴吹建設】

https://www.daikyo-anabuki-construction.co.jp/newsrelease/doc/20260612.pdf

公正取引委員会より意見聴取通知書の受領について   当社は、関東地区所在のマンション管理組合が設計監理会社に委託して発注する大規模修繕工事の受注に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、2025 年 4 月 23 日に公正取引委員会の立入検査を受け、以後、同委員会の調査に全面的に協力してまいりまた。 2026年6月11日、同委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令書(案)及び課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通知書(以下、「本通知書」といいます。)を受領しましたので、お知らせします。 今後、本通知書の内容を確認、精査するとともに、本通知書を受領した事実を厳粛に受け止め、さらなる法令遵守に努めてまいります。 お客さま、お取引先さまをはじめ関係者の皆さまに、多大なご心配をおかけしており、改めて深くお詫び申し上げます。


【建装工業】

当社に関する公正取引委員会の行政処分に関する報道について   2026年6月12日付の一部報道機関におきまして、当社に対する公正取引委員会の行政処分に関する記事が掲載されました。当該事案につきましては、現在も調査が進行中であり、当社としては関係当局の調査に真摯に協力しております。 現段階では、個別の内容に関する詳細な説明は控えさせていただきます。今後、開示が必要な事項が生じた場合には、迅速に公表してまいります。

これらは代表的な対応といえますが、中には微妙で深読みを誘うようなケースもあります。こちらもいくつか紹介してみます。

【東急コミュニティー】

https://www.tokyu-com.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/20260612.pdf

当社に関する一部報道について   本日、一部報道において、当社に対する公正取引委員会からの行政処分に関する件が報じられておりますが、当該報道内容は当社が公表したものではございません。 当社は現在、関東地区の1事案について、同委員会による調査を受けておりますが、調査に対しては、引き続き誠実かつ適切に対応してまいります。 今後、開示すべき事項が発生した場合は、速やかに公表いたします。

わざわざ「関東地区の1事案」と行っているのは、同社としては当該マンションで管理を受託していたか、たまたま工事見積りに参加していたということかと思われます。また、調査は受けたものの、排除措置命令書(案)や課徴金納付命令書(案)について意見聴取通知書は届いていないのかもしれないません。「とばっちり」を受けたと言わんばかりのニュアンスです。

また、注目されるのは設計コンサルタント会社2社の対応です。課徴金の納付命令は出ないようですが、今回の談合疑惑ではいわば「仕切り役」として重要な役割を果たしたと思われます。どのようなコメントを出しているのでしょうか。


【翔設計】

https://www.sho-sekkei.co.jp/news/11460/

【お詫び】本日の一部報道について    本日、一部報道機関において、当社に関する報道がなされました。 お客様、お取引先様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます。 本件につきましては、今後も公正取引委員会との意見聴取等の手続きが続いていくため、最終的な結果が決定次第、改めて速やかにお知らせいたします。 なお、当社ではすでに業務プロセスの見直しおよび適正化を図り、現在は改善された適正な体制のもとで業務を行っております。 今回の事態を厳粛に受け止め、より一層のコンプライアンス遵守に努めてまいります。    

「すでに業務プロセスの見直しおよび適正化を図り、現在は改善された適正な体制のもとで業務を行なっている」というのは、以前は不適正で問題があったことを暗に認めているようなものでしょう。

なお、同社は1年程前に公正取引委員会の調査が入ったとの報道があった際、次のような文書をホームページに掲載しています。

https://www.sho-sekkei.co.jp/news/10324/

大規模修繕工事に関する一部報道について   本日、一部報道において、首都圏の分譲マンションの大規模修繕工事に関する独占禁止法違反の疑いについて報じられております。 弊社 株式会社翔設計は、設計業務を主たる事業とし、適正な業務遂行に努めておりますが、本件について各工事会社に確認を行っております。 関係各所と連携のうえ、事実関係を確認し、適切に対応するとともに、引き続き、法令順守を徹底し、公正かつ誠実な事業運営に努めてまいります。 今後の対応につきましては、進展があり次第、改めてご報告いたします。

このときは「適正な業務遂行に努め」ているものの、「本件について各工事会社に確認を行なって」いるというのはどういう意味なのでしょうか。自社が仕切っていたのではなく、実際は有力な工事会社がリードしていたというようにも読めます。

設計コンサルタントのもう1社の反応は次の通です。同社は1年ほど前の調査開始の報道では名前が挙がっていませんでしたが、マンションの大規模修繕工事の設計監理では大手の1社です。

【リノシスコーポレーション】

https://www.renosys.jp/

公正取引委員会に関する報道について   今般、報道機関にて報じられております通り、弊社は公正取引委員会より排除措置命令書(案)を受領したのは事実であります。 弊社といたしましては、本件を極めて重く受け止めております。 詳細については現在確認中ですが、今後、公正取引委員会においては意見聴取などがなされる手続き中でもあり、弊社としては全面的に協力してまいります。 現時点において、本件に関する詳細な回答は差し控えさせていただきますが、今後、開示すべき事項が発生した場合には、速やかに公表してまいります。 関係者の皆様方には、多大なるご不安とご心配をお掛けしていることをここに深くお詫び申し上げます。

 今後、公正取引委員会から正式な処分が公表された際、各社がどのようなコメントを発表するのか、ぜひ注目してみてください。