ソーシャルジャジメントシステム 廣田晃崇のマンション管理ブログ 夢はでっかく根はふかく

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20190127 第52回
区分所有者の無関心D
 大規模修繕工事を巡る悪質コンサルの問題
20181201 第51回
区分所有者の無関心C
 管理委託費の値上げラッシュが近づいている
20181104 第50回
区分所有者の無関心B
 管理組合の財務状況を知らない
20181014 第49回
区分所有者の無関心A
 長期修繕計画の収支バランスを
 気にしていない
20180930 第48回
区分所有者の無関心@
 修繕積立金の値上げ予定を知らない
20180916 第47回
マンション管理で一番の問題は
 所有者の「無関心」
20180916 第46回
分譲マンションでの民泊をめぐる
 訴訟について
20180817 第45回
分譲マンションにおける民泊新法への対応
20180801 第44回
マンション管理業者の
 「ネガティブ情報」とは?
20180801 第43回
管理会社の多くがリプレイスに積極的!
20180701 第42回
日経が報じた「マンション75%修繕不安」
 の実態
20180701 第41回
最新管理戸数ランキングに見る業界トレンド
20180522 第40回
マンション管理のサポート現場から
 お伝えしていきます
20160228 第39回
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20160107 第37回
2016年もよろしくお願いいたします
20151114 第36回
横浜市都筑区のマンション問題について
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第42回
日経が報じた「マンション75%修繕不安」の実態
 

最近、分譲マンションの大規模修繕工事に関する新聞記事が増えているように感じます。
 
少し前になりますが、2018年3月27日付の日本経済新聞(日経)朝刊で「マンション75%修繕不安」という大きな見出しの記事が掲載されました。

内容は、日経が不動産情報会社の協力を得て、全国の分譲マンションの1割にあたる1万4000棟の修繕積立金を分析したところ、約1万500棟(75%)が国の目安を下回っているというものです。

特に、約900棟あるタワーマンションは8割弱が未達で、国の目安の半分に達していない物件も1割あったとしています。

国土交通省は2011年(平成23年)に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を公表しました。
これは、主に新築マンションの購入予定者向けに、修繕積立金額の目安を示し、売主の不動産会社(デベロッパー)から提示される修繕積立金の額の水準について判断する参考材料にしてもらうことを目的にしています。
具体的な金額(平均値)は、階数と延床面積に応じて次のようになっています(カッコ内は70u換算)。

<15階未満>
延床面積 5000u未満  218円/u・月(1万5260円)
同   5000〜1万u  202円/u・月(1万4140円)
同   1万u以上   178円/u・月(1万2460円)
<20階以上>      206円/u・月(1万4420円)

さらにこのガイドラインでは、機械式駐車場がある場合には加算が必要としています。

しかし、私たちがこれまでコンサルティングを行ってきた分譲マンションでは、ほとんどがこの目安を下回っており、中には目安の半分程度の水準のケースもありました。
日経が報じた「75%」という割合でもまだ少なすぎるのではないかというのが、正直な感想です。

日々のマンションライフにおいて、修繕積立金の不足はなかなか実感しにくい問題ですが、じわじわと管理組合の財務を蝕み、気が付いたときには大変な事態、例えば修繕積立金の大幅引き上げや一時金の徴収といった問題につながりかねません。

一方、早い時期から管理委託費の見直しなど、できるところから対策を講じている賢い管理組合もあります。

大切な財産であるマンションの資産価値を守るためにも、多くの管理組合と区分所有者のみなさんが早くこの問題に気付かれることを願っています。